くろぶたの「毎日呑んだり喰らったり」
| ■ 12月××日 |
毎年年末恒例のフードオブザイヤー。今年はこの日記のページを使って、写真付きで紹介することにしました。せっかく写真と一緒に報告できる環境にあるもんね。今年は写真をまめに撮っていたので、ネタもたくさんあるよん。
さて、まず1軒目は名古屋市天白区の寿司店「弥助」。ここのご主人は東京の寿司の名店「與兵衛」で修行されてきました。僕は「與兵衛」にはまだ行ったことがありませんが、この「弥助」も「與兵衛」も両方行ったことがある友人によると、握りは「與兵衛」をかなり再現できているとのこと。
僕がこのお店を好きな点は、まずネタにすごく仕事がされていること。愛知ではネタの鮮度や大きさで勝負しているお店が多いけど、ぼくはそういう寿司はあまり好きではない。僕が好きな寿司は、ネタにもシャリにもしっかり仕事がしてあって、それらがビシッとバランスよく絡み合っているもの。ここは仕事がちゃんとしているだけでなく、バランスも最高。
もう一つ気に入っているのは、驚異的なコスパの高さ。ランチは1570円からなのだが、本当にお値打ち。また、夜はうまい寿司を出すのに、昼は夜とは全く別物な寿司を出す店も多い中、ここは昼が本当に良心的。手頃な値段でちゃんとうまい寿司を食わせてくれる。カウンターのみのこじんまりしたお店だが、敷居も高くなく、本当にうれしいお店。今年前半のMVP候補です。
ただ、これは好みの問題ですが、「寿司屋に行ったら、とろとろのトロをたくさん食べたい!」という方は他のお店に行かれた方がいいと思います。単純に寿司ネタの質だけで言えば、「弥助」は決して最上ではありません。「それほど高くないネタを、きちんと仕事をしておいしく食べさせてくれる」、そんなお店だと思います。
続いて、今年前半のMVP候補として改めて紹介したいのが、幡豆郡一色町にある日本料理店「満愛貴」(まあき)。佐久島という交通の便が悪い場所にわざわざお店を構えたご夫婦が、お米や野菜、そして塩や醤油、味噌などの調味料まで手作りして、お店を開いていらっしゃいます。
そしてその料理は茶懐石の流れも取り入れた、非常に繊細なもの。地の素材を根気良く丹念に調理した料理は、角がとれた丸い味わいで、やさしい食感。値段は安くないし交通の便も悪いですが、おいしいもの好きな方は、本当にわざわざ行く価値があるお店です。
さて、次なるお店は愛知県を離れて、家族旅行で出かけた長野県大鹿村の宿「右馬允」(うまのじょう)。深い山々に囲まれた大鹿村は、観光客を考慮した街づくりを一切していないと思われました。昔からのありのままの自然と、そこで暮らす人々の飾らない姿に、僕は久しぶりにのんびりすることができました。
さて、その大鹿村にある宿「右馬允」は、料理が本当に抜群でした。1泊13000円でこの料理のクオリティはすごくうれしい。特に写真右のくるみだれの五平餅は、これまで食べてきた五平餅の中でもダントツのウマサでした。
この宿は、のんびりと時間を過ごすことができる大人にお勧めしたい宿です。
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4軒目は豊橋市の新店「アイタル食堂」。
ここはお気に入りのお店でも紹介しているとおり、僕のツボにバッチリはまった1軒。
まず、食事がいい。オーガニックにこだわったメニューは、素材に力があるだけでなく、癒しを感じる味わい。同じく素材がいい山猫軒でも、僕は癒しは感じない。このお店ならではの特徴だと思う。
アイタル食堂の中でも、特に気に入った料理が写真の2品。
左の写真のピザは、カリッ、サクッと香ばしい食感。素材の力強さが光るが、どこか素朴な感じがいい。単においしいピザというだけなら、名古屋のイーストというお店も相当においしかったけど、こちらは都会的でスタイルのいい若者というイメージ。アイタルは素朴で純粋な田舎の青年というイメージ。僕はアイタルの味の方がしっくり来る。きっと、僕自身が田舎者だからなんでしょうね。
右の写真は「にんじん豆腐クリームケーキ」。ぼろぼろと崩れてちょっと食べづらかったけど、食べながら体が喜んでいる感覚がダイレクトに伝わってきた。嫌な風味が一切ない。今年一年間に食べたケーキの中で一番印象に残ったケーキ。ケーキ オブ ザ イヤーです。
最後のお店は、北海道札幌にある割烹「しんせん」。
ここは、僕が5〜6年くらい前からずっと行ってみたいと思っていたお店。今年の冬、ようやく訪れることができました。
「しんせん」は小体なお店で、カウンターが3〜4席ほどと、ちょっと窮屈そうな4人掛けテーブル席が1卓、6人ほど入れる個室が2間。コースは6000円からで、単品でもいただくことができるようです。写真は6000円のコース。
料理はどれも薄味で、やさしい味わい。新鮮な魚貝を、素材の味を活かしながら奇をてらわない調理がされています。この手の加え具合がすごく好み。そして、どの料理も明快にうまい。特に印象に残ったのは、緑色の深小鉢に盛られた「あんこうの友和え」と、一番最後の写真の「ハタハタ(立派な卵付き!)の塩焼き」。むはは。笑っちゃうおいしさでした。
また、よかったのは料理だけではありません。
お店の大将や仲居のみなさんの柔らかい笑顔にも本当に癒されました。みなさんの接客は常に柔らかい物腰で、しかもよく気がついて、とても感じがよかった。大将も途中で挨拶に来てくださって、気さくにお話させていただきました。
僕はいろんなお店に行ってみたいので、あまり行きつけのお店を作らないけど、このお店には札幌に行くたびに顔を出してみたい、そんな気持ちになったお店でした。
さて、2006年のフードオブザイヤーはこれにておしまい。2007年はどんなうまいものに出会えるか、楽しみです。
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